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2024年1月1日
電話ボックス内には寄付で用意された本があり、持ち帰ることができる=いずれも立川市で
電話ボックスにいたのは5歳くらいの男の子。受話器を重たそうに持ち上げ、耳に当てた。プルルルルルル、プルルルルルルル-。ぎゅっと唇をかむ。次の瞬間、呼び出し音が途切れた。男の子の顔いっぱいに、ぱっと笑みが広がった。「ママ! つながったよ」
JR立川駅近くにある真新しい商業施設「グリーンスプリングス」。2階オープンスペースの建物の陰に、その電話ボックスはある。外線にはつながらない。受話器を持ち上げると、施設の反対側に設置されたもう一つの電話ボックスの電話が鳴り、つながる仕組みだ。
不思議な電話は、立川市在住のアーバンデザイナー兼平翔太さん(38)が3年前に設置したアート作品。作品に込めた思いとは。
「電話口の相手は今、何をしてるかな。そんなふうに想像することが、通信アプリの普及によって、いつのまにかなくなった。人と人が『つながる』とはどういうことか、もう一度問い直したかった」
電話ボックスのアート作品を設置した兼平翔太さん
地元・札幌の高等専門学校、千葉大を経て、戦後建築界の巨匠・丹下健三さん(1913~2005年)が創業した建築設計事務所「丹下都市建築設計」に入社。アジア各国の都市開発事業を担当した。6年前に米コロンビア大に留学し、そのままニューヨークの設計事務所で働いた。
ところが20年、(略)
(岡本太)
地域、世代、貧富-。知らず知らずに、「分断」という名のパンドラの箱を開けてしまっている現代。でも、箱の奥深くには「希望」が眠っている。明日に向かって、大切な思いをつないでいる人たちの姿を追った。
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