◆第102回 全国高校サッカー選手権 近江 3ー1 堀越(6日、国立競技場)
近江(滋賀)が前半に3得点を挙げる猛攻で堀越(東京A)を3―1で一蹴し、初の決勝進出を果たした。放浪生活の経験者でもある元Jリーガーの異色指揮官、前田高孝(たかのり)監督(38)率いるチームはスローガンの「海賊になれ」で次々と強豪を撃破し、夢の決勝舞台にコマを進めた。8日の決勝で、4度目の制覇を目指す青森山田と対戦する。
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華々しい3発で決勝進出を決めても、近江・前田監督はほとんど表情を変えなかった。緩みを見せないようにしたわけでも、試合内容に不満があったわけでもない。実感が沸かなかった。「夢なのか現実なのか…。よくわかってない状態です(笑い)」。今大会で一度も先制できなかったチームが、前半22分までに3発。「いやあビックリした。これが聖地の力かあ」とのけぞった。
「Be Pirates(海賊になれ)」のスローガンを掲げ、次々と強豪を撃破した勢いは健在だった。
前半11分に先制点を挙げた鵜戸瑛士は、船長の監督にメディカル担当を任されている。2分後に追加点を決めた山門立侑は分析担当。同22分には頼れるキャプテン・金山耀太が突き放した。
ゴール前で相手シュートをかき出したのが広報担当の安田旭。終盤には、今大会出場機会のなかった副キャプテン・里見華威もピッチに立った。前田監督が「プロを目指す人も将来的に違う人生を歩む人も、熱中できるものを見つけ、目標に向かって努力する男になってほしいという思いでつけた」という合言葉のもと、船員たちが攻撃サッカーで観客を魅了し、相手を圧倒した。
指揮官は我が道を行くキャリアを歩んできた。2004年にJ1清水に加入したが、大けがの影響で出場機会がなく2年で退団。シンガポール、ドイツ5部でのプレーを経て22歳で引退すると、関西学院大へ入学。長期休みのたびにバックパッカーとして海外を放浪し、ボランティア活動にいそしんだ。
居住先がないことが出場資格で、ホームレスの社会復帰を目的としたサッカーの世界大会「ホームレスW杯」の日本代表コーチを務めたことも。類いまれな経験を買われ、15年に近江の監督に就任した。
「教えたことはなかなか身につかないが、自分で気付いたことは身につきやすい。でも(指導者が)何もやらないと選手は気付かない」。ヒントだけを与え、答えは選手に考えさせる。唯一無二の人生から導き出した独自の指導法だ。「選手は自分で判断するのが一番楽しいっしょ」と笑う。
創部53年目で初、県勢ではMF乾貴士(清水)を擁し、華麗な個人技で“セクシーフットボール”と称されて優勝した05年の野洲以来の決勝を迎える。
元Jリーガー監督初Vの期待もかかる指揮官は言う。「バックパッカーだった時、初めて見るもの、初めて食べるもの、初めて会う人…そういうのが一番刺激があった。彼らにとっても、初めてのことは何より刺激的だよね」。日本一の“お宝”は目の前。初の全国決勝の舞台に立つ海賊たちが、最後の航海で最高のエンディングを迎える。(岡島 智哉)
1/6(土) 23:18 スポーツ報知
https://news.yahoo.co.jp/articles/de52b9471df0329b1d470734ae749c502c28b389
引用元: ・【高校サッカー】近江監督は元ホームレスW杯日本代表コーチ 異色指揮官率いる“海賊”が日本一王手 [Egg★]
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