
外務省は4月、ウェブサイトに「中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ」と題するページを掲載した。
同ページでは、中国各地で一般市民が襲撃されるなどの重大事件が発生しており、邦人も犠牲になっていることに言及。中国を渡航先とする修学旅行を検討している学校関係者に対し、外務省海外安全ホームページなどを十分参照の上、「渡航の是非」を判断するよう求めた。
とはいえ、渡航の自粛を命じるものではなく、安全確保や警備強化における外務省の支援、修学旅行出発15日前までの旅行届の提出、「たびレジ」への登録など、一般的な注意喚起も含むウェブページだと言えるだろう。
しかし、中国外交部の反応は違った。
4月22日の中国外交部の定例記者会見で、郭嘉昆(クオ・チアクン)報道官は同ウェブページについて、「日本の『安全保障上の注意喚起』は明らかに政治的な意図を持っており、中国の『安全保障上のリスク』を悪意をもって誇張している」と、強烈な不満を述べた。
「中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明し、日本側に厳重な抗議を申し立てた」
挙句の果てに「中国は開放的で寛容で安全な国だ。我々は日本を含む全ての国の人々が中国を旅行し、中国で学び、ビジネスを行い、中国に住むことを歓迎する。中国国民と中国に滞在する外国人の安全を分け隔てなく守るために、引き続き効果的な措置を講じる」と発言。
「中国は日本に対し、直ちに誤った慣行を是正し、日中間の人的交流に前向きな雰囲気を作り出すよう強く求める」と、日本側に注文を付けた。
引用元: ・外務省が中国への修学旅行に注意喚起すると中国は激怒したが日本以外の国の安全性評価はもっと酷い [662593167]
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■多くの主要国は中国を安全とは見なしていない?そもそも、中国安全神話に自己陶酔している中国政府には、多くの国が中国を「安全な国」と見なしていないという現実が見えていないようだ。中国渡航に際して、自国民に日本以上の警告を出している主要国・地域は少なくない。
例えば、隣国の韓国では、韓国外交部が評価する中国渡航の危険度レベルは、日本の外務省のレベル1に相当する「旅行注意」となっているほか、新疆ウイグル自治区とチベット自治区には「特別旅行注意報」を出している(韓国は「なし」から「旅行注意」「旅行自粛」「出国勧告」「旅行禁止」まで、渡航危険度を日本と同じ5段階で評価。それとは別に、短期間で緊急性の高い危険が発生した際に一時的に「特別旅行注意報」が発出される)。
アメリカも中国渡航に際して警告を出している。米国務省領事局は渡航危険度をレベル1~4の4段階で評価しているが(数字が大きいほど危険度が増す)、中国への渡航危険度はレベル2の「高度な注意が必要」とされている。
カナダやオーストラリア、ニュージーランドのいずれも、中国渡航に際しては、米国務省のレベル2相当の警告を発出している。
そして、主要国・地域の中で最もハイレベルな警告を出しているのは台湾だ。
台湾は中国本土への渡航の危険度をレベル3「不要不急の旅行の中止」としている。台湾は米国務省同様、渡航危険度を4段階で評価しており、これは2番目に危険なレベルだ。
■主要国・地域が考える中国が危険な理由
こうした警告を出している多くの国が根拠としているのは、法律の恣意的な運用や、それに起因する不当拘束だ。
中国渡航の危険度レベルの理由を見ると、アメリカは「出国禁止を含む現地の法律の恣意的な施行」としている。
オーストラリアも「中国当局は『国家安全保障を脅かす』という理由で外国人を拘束している。恣意的な拘束や、広義の国家安全保障法を含む現地法の厳格な執行を受けるリスクがある」と、中国の不透明な法執行をリスクとして挙げる。
危険度レベルを最も高く評価する台湾は「中国共産党の関係部門により台湾人が不法に拘留、拘束、尋問される事件が多数発生している。中国本土、香港、マカオに旅行する台湾人の身の安全が深刻な脅威にさらされている」とまで記載している。
イギリスやドイツといった国も、中国渡航時のリスクとして、恣意的な法律の運用やそれに起因する出国禁止措置を挙げている。
日本の外務省も、中国の危険情報のページに「国家安全に危害を加える」とされる行為によって拘束、起訴される恐れがあるといった旨を記載しているが、アメリカや台湾などと比べたらロートーンだ。
中国が自国の安全神話を守り、人的交流を積極的に行いたいというのであれば、日本より先に非難すべき国はいくらでもあるのではないか。
習近平(シー・チンピン)国家主席は2021年5月、中共中央政治局・第30回集団学習会の中で「『可信、可愛、可敬』(信頼され、愛され、尊敬される)な中国のイメージを創り上げていかなければならない」と発言した。修学旅行の際の注意喚起程度で激昂するのならば、中国が真の意味で信頼され、愛され、尊敬される日はまだまだ先の話だろう。
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