https://www.asahi.com/articles/ASTCK0CGGTCKUTIL024M.html
加害者による被害者への損害賠償が進んでいません。今年6月に施行された改正刑法で、刑罰の軸足が「懲らしめ」から「立ち直り」に移りましたが、この課題は残ったままです。慶応義塾大の太田達也教授(刑事政策)に話を聞きました。
――警察庁の昨年の調査では、犯罪被害者のうち加害者から賠償を受けたのは3.1%だけとの結果でした。なぜ、加害者から賠償を受けられないのでしょうか。
加害者はもともと収入や資産が少ないなど、賠償する資力がない人が多いです。しかし、それだけではありません。刑務所に収容されて刑に服することで贖罪(しょくざい)が終わると考え、賠償の意思がない受刑者が少なくないのです。
これは長年、賠償とは「民事」の問題であって刑務所で指導することではない、という職員の誤った認識があったこととも無縁ではありません。
希望する受刑者による被害者の命日供養などは行われてきましたが、被害者にどう罪を償うのか、どのように損害賠償を支払っていくのかについての指導はほとんど行われてきませんでした。
受刑者に対して賠償に向けた指導を積極的に行う必要があります。また、被害者への贖罪は更生の一環であると、刑務所職員らが自覚する意識改革も欠かせません。
――賠償を受けられないことで、被害者の生活にはどんな問題や悪影響が生じますか。
家計の担い手が犯罪によって死亡した場合、遺族の経済状況は一変します。収入が途絶えたり、激減したりするなかで、民事裁判で弁護士を雇う費用、治療費やカウンセリング費用など多額の出費を余儀なくされ、生活が極めて厳しくなることが少なくありません。
一方、多くの加害者は、こうした様々な被害の実態を知りません。刑務所の職員も、被害に関する情報をもっていないのです。
「国が立て替え」にも課題
――加害者による賠償を「国が立て替えるべきだ」との意見もあります。
日本弁護士連合会や一部の被害者団体は、立て替え払いの制度の実現を求めています。国からお金を受け取れるので、被害者の損害回復に役立つことは間違いありません。
しかし、国は加害者に対し、立て替えた支給分を求償する(払わせる)必要が生じます。殺人などの事件は賠償額が高くなるため、数十年単位で請求を続けることになります。刑務所から出所後も追跡を続けるのは極めて困難で、膨大な労力と経費がかかります。
一方、回収はほとんどできないと想定されます。そうなると不良債権になり国民の税金で犯罪者の賠償を払うことになります。
加害者が賠償金の回収を逃れるために、住民登録を避けるといった事態も予想されます。「何をしようが国が賠償を立て替えてくれる」という制度は、モラルハザードを招く危険性も否定できません。
とりうる改善策は
――受刑者は刑務作業で得る「作業報奨金」を被害者への賠償にも使えますが、被害者への送金額は日本全体で年300万~400万円台にとどまっています。2024年の送金は336件で約463万円でした。
毎月の作業報奨金は数千円から2万円強ぐらいです。送金する受刑者はごく一部で、平均金額は1回1万5千円足らずです。主な原因は、受刑者に賠償意思がないことにあります。
刑務作業の内容からして、現在の報奨金の基準は安すぎると私は感じます。しかし財政状況からして報奨金の大幅な引き上げは難しく、国民の理解も得られにくいでしょう。
そもそも被害者への送金は、あくまで受刑者本人が希望しなければできないため、報奨金を引き上げるだけで被害者への賠償につながるとは考えられません。
そこで私は、裁判で損害賠償を命じられた受刑者らについて、報奨金の一定の額を被害者への賠償分として控除する(差し引く)制度を提案しています。海外では、受刑者の得た報酬から収容費や賠償分を控除する制度をもつ国が少なくありません。
さらに提案したいのは、受刑者の「自己契約作業」です。自己契約作業とは、受刑者が外部の企業と委託契約を結んで一定の作業を行い、報酬を得るものです。
昭和40年代には積極的に行われていて、当時の公務員の初任給の半額に近い額を受刑者が得ていたこともありますが、現在はほとんど行われていません。
刑務所が受注している作業の一部を自己契約作業とみなす仕組みであれば、企業も協力しやすいのではないかと考えています。
※以下出典先で
引用元: ・進まぬ賠償、受刑者はお金も意思もなく 識者が求める「引き去り」 [七波羅探題★]
刑務作業させたらいいじゃん
脳汁出てそう
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