2025/11/13 8:00 岡本 純子 : コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師
■「リベラルの言葉」が響きづらくなっている理由
「高市早苗首相の話し方」について徹底解剖するこの連載。2回目の今回は「『愛国の女神』としてのポジショニング」について取り上げますが、
まず、その背景として、「保守」と「リベラル」のコミュニケーションの違い、「なぜ今、リベラルの言葉が響きにくくなっているのか」について解説しましょう。
イギリスの新聞、ザ・テレグラフの記事によれば、世界73カ国の民主主義国家で、リベラル政党の支持率は冷戦終結後、最も低い水準になっているそうです。世界で「リベラル勢力の退潮」が進んでいると言えます。なぜなのでしょうか。
コミュニケーションの観点から分析すると、「リベラルの言葉は保守に比べて刺さりにくくなっている」のが一因と言えます。
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保守がよく使うのは、「日本」「国」「安全保障」といった「愛国心」などをくすぐる言葉が多いのに対し、リベラルは「多様性」「共生」など、理想論的な言葉が多いのが特徴です。
コミュニケーションの成否は、いかに言葉や話し方が聞き手の感情を揺さぶるのかにかかっています。どんなにロジックが通っていようと、ファクトがあろうと、正論であろうと、そんなことはあまり関係ありません。
リベラルが倫理・論理的主張を打ち出す一方で、保守は「『物語』を語る」「敵を設定し攻撃する」「短く断定調で言い切る」など、徹底的に感情に訴求するコミュニケーションテクニックを多用します。
結果的に、「自尊心」「誇り」「ノスタルジア」「高揚感」「怒り」「恐怖」「ルサンチマン」など、「感情のスイッチ」を強く押す保守の論調のほうが響きやすくなるのです。
■人々は「保守の言葉」に「安心感」を覚えている
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心理学に「恐怖管理理論」(Terror Management Theory)という考え方があります。パンデミック・戦争・貧困・孤独など、人々の「死」への不安が増大すると、
自分の所属する文化・宗教・国家・価値観への帰属意識が強まる。結果として、「異なる文化・価値観」への拒絶・攻撃性が上昇し、「伝統」「秩序」「強いリーダー」を希求する気持ちが膨らむのだそうです。
まさに不安と不確実性の時代で、こうした空気はますます強まっていると言えるでしょう。
日本においてはインバウンドの急増・外国人労働者、コロナワクチンなど未知・異種の「人間」「物体」へのアレルギーや恐怖心を持つ人も目立ちやすくなっています。
加えて、「エコーチェンバー」(自分と似た意見や思想を持った人々の集まる空間)としてのSNSの台頭が、短く強くバズりやすい言葉・単純構文を多用し、敵を批判、怒りや誇りを増幅させる保守の論調の拡散を容易にしています。
人は理想や正義など「正しい言葉」より、自尊心と承認欲求を満たす「快い言葉」を好むもの。わかりやすく、直感的に理解でき、自尊心をくすぐる保守の言葉に「安心感」を覚え、支持する人は少なくありません。
そんな不安な時代に誕生したのが高市首相というわけです。彼女の話し方は自信に満ち、揺らぎがありません。
「国防にかかる脅威」「危機管理投資」「危機的状況」など、危機感を想起させたうえで、「日本と日本人を心底愛するものとして」「日本と日本人の底力を信じてやまないものとして」
「日本をもう一度世界のてっぺんへ」と日本人のプライドをくすぐります。そして、「日本の領土・領海・領空・資源を守り抜く」「国土強靭化」を約束するのです。
支持者の目には、まるで祖国の窮状を救おうと馬にまたがる「ジャンヌダルク」、旗を掲げて、民衆を導く「愛国の女神」のように映るでしょう。
■「愛国」という推し活の先頭に立った高市氏
私の周りにも高市氏の熱狂的ファンが少なくありませんが、知人になぜ、そこまで支持するのかを聞くと、こう答えました。
「日本をたくさんほめてくれるから」
日本という「推し」を信奉する人にとって、「推し」をほめられることほど嬉しいことはないようです。
「愛国」という推し活、ファンコミュニティの先頭に立つ存在である高市氏。支持者にとっては、そんな彼女に対する批判や攻撃は「日本」という国への冒涜であり、彼ら個人に対する攻撃ととらえます。
(中略)
野党を含めた日本の政治家・リーダーたちには、たんなる個人攻撃や正論、ヤジではなく、より高度で戦略的なコミュニケーションの技術を磨き上げ、健全な議論を継続する努力が、今まで以上に求められていると言えるでしょう。
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/915734
引用元: ・今なぜ「リベラルの言葉」(理想論など)は響きづらいのか?高市氏が「愛国の女神」として支持を集める訳…不安な時代は感情に訴求する「保守の言葉」に安心感
画像:保守とリベラル レトリックの違い
https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/4/2/570/img_4233fce81e797dde3486b6e34780041d157229.jpg
■価値観
【保守】伝統、秩序、国家、家族、責任、安定 [対象]:我々 [時間軸]:現在を守る
【リベラル】自由、多様性、個人、平等、公正、共生 [対象]:全人類 [時間軸]:未来を守る
■よく使う言葉
【保守】日本を取り戻す、美しい国、国を守る、国防、誇り、伝統、安全保障、反日、秩序
【リベラル】格差、多様性、ジェンダー、共生、平等、自由、人にやさしい、誰もが生きやすい、差別をなくす、誰一人取り残さない、透明性
■レトリックの手法
【保守】感情・義務訴求型、二分法型(敵が明確)、物語で語る(人が主役)、短く強い断定文
【リベラル】倫理・論理訴求型、国際連携型、問題提起型/データ・エビデンス訴求型、理想論で語る
■喚起する感情
【保守】自尊心、誇り、ノスタルジア、高揚感、怒り、恐怖、ルサンチマン
【リベラル】倫理観
【保守】直感的にわかりやすい、具体的、感情訴求
【リベラル】観念、教条的、抽象的、理想論、ロジック・データ・ファクト重視
※岡本純子作成
最近中国はこういう肩書きの資格を持たないインフルエンサーを取り締まる法律作った
中国の方がわりと進み始めてる
データ出てますんで
【社会】外国人の犯罪率は日本人の1.72倍 警察庁が短期滞在者除いた数字を参院内閣委で答弁
https://talk.jp/boards/newsplus/1763633174
労基法守ってない日本人の割合は?
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