昨年の秋、京都の高校駅伝でちょっとした“異変”が起きた。
京都の高校陸上界の盟主と言えば、他でもない洛南高校である。先日行われた箱根駅伝でも活躍した佐藤圭汰(駒大)や、三浦龍司(順大)らを輩出し、府大会では9連覇を達成。昨年12月の都大路でも7位入賞を果たすなど、今も変わらない強さを誇っている。
ところがそんな洛南が昨年は府大会で冷や汗をかくシーンがあった。
4区で先行を許し、アンカー区間に入っても2位と8秒差という僅差のレース。最後の最後でなんとか振り切ったものの、絶対王者の意外な苦戦は関係者の間で小さな話題を呼んでいた。
さらに驚かされたのが、その相手が府立の中高一貫校である洛北高校だったことだ。
洛北といえば、毎年京大に30名近い合格者を出し、関西圏の名門国立大である阪大、神大まで含めれば50人を超える合格者を出す公立の“超”進学校である。当然ながら純粋なスポーツ推薦の制度はない。
そんな学校が突如躍進を見せ、その後の近畿高校駅伝でも他県の代表校を押し退け3位に食い込んだ。一体そこにはどんな“魔法”があったのだろうか?
■4年前から部を指導するのは「元箱根ランナー」
「やっぱり一番は3年生の存在でしょうね。彼らはとにかく京都で勝ちたい、全国で活躍したいという想いがすごくありましたから」
こう語るのは、4年前から部を指導する難波祐樹だ。
難波は洛南高校から順天堂大学へ進学し、4年連続で箱根駅伝を走ったランナーだ。“初代・山の神”こと今井正人(現トヨタ自動車九州)のひとつ上の世代にあたる。大学卒業後は実業団のJALグランドサービスを経て、大分東明高のコーチに。その後、京都府の高校教員採用試験に合格し、地元へと戻ってきた。
「京都に戻って、最初の高校で5年間指導した後、2020年に洛北高に赴任してきました。ちょうど今の3年生たちが、私が声をかけた中学生の最初の代でしたから。その彼らがここまで成長してくれたというのは、本当に感謝しています」
前述のように、洛北高は京都の府立高校である。
1学年の生徒数は280名ほどで、うち80名は附属中学校からの内部進学。いわゆるスポーツ推薦制度はないため、難波が「声をかけた」と言っても実質は「もし興味があれば受験してください」と言うところまでだ。無論、府外の選手はいない。
「全員普通に入試をパスしないといけないわけですから、そもそもハードルが高いんです。基本的に進学校ということもあり、中学時代の成績が良くて、勉強が得意でないとなかなか難しい。スポーツの実績だけで下駄を履かせることはできません」
顧問の先生に声をかけたはいいものの、「この子は成績的にちょっと難しいと思います」と言われることも少なくないという。
■授業は7限制で4時半まで→7時には完全撤収
さらに、日々の活動にも進学校らしい苦労が滲む。
授業は1コマ50分の7限制。4時半に授業が終わり、4時45分から部活動がはじまるが、7時には完全撤収となる。もちろん強豪校のような寮生活ではないため、その約2時間ですべて完結させなければならない。
「府の全域から通ってきているので、遠い子だと2時間近くかけて通学しています。そうなると7時には学校を出ないと帰るのが遅くなってしまう。近くてもそこから塾に行くような子もいますしね。朝練も7時20分スタートでやっているんですが、一番早い子は5時22分の電車に乗って来ています」
こういった様々なハードルもあり、結果的に中学時代に全国的に活躍した実績のある選手はほとんど入学してこないそうだ。
「それこそ強豪校から声がかかるような選手はひとりもいないと思います(笑)。今季チームのエースだった3年生の三宅(勇希、4月から順大)も中学時代に私が声をかけた時は3000mで9分35秒とかの選手でしたし、府大会にも出られなかったという子も多いです」
現在、陸上部の中長距離部員は、すでに引退した生徒を除くと全部で24人。
その中で中学生ランナーの一線級とされる3000m8分台の記録を持っていた選手は2人しかいない。レギュラークラスの中には10分近いような持ちタイムだった選手もいるという。では、決して簡単ではないリクルート状況の中で難波はどんな選手に声をかけてきたのだろうか。
まずは学力的に洛北高が受験可能なラインであることが大前提になる。
※以下出典先で
引用元: ・京大合格約30人、京都の公立進学校が高校駅伝で大躍進のナゼ「授業は7限、スポ薦ナシ、中学の実績ゼロ」でも選手が伸びるスカウトとは [征夷大将軍★]
だからコーチがしっかりしてれば指導も素直に聞くし伸びるよね
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